|
税理士は全国で約6万人。
日本経済は今では死語となった高度成長時代からバブル以降失われた10年(もっと長いと思うが。)に突入し未だその解決の糸口は見えず仕舞である。
戦後急成長を遂げる日本経済と納税者の調整役増員が国家として急務であった事情と税務署OBの退職金代わりに資格を与えることが絶妙にマッチし、それだけでは行政上具合が悪いため民間(税理士試験等)にも門戸を開いたのが税理士制度の根底にある。
なにしろPCも電卓も無かった時代において税理士(旧計理士)は帳簿の整理屋さんとして大変貴重な存在であったと容易に推測できる。手書きが基本で、試算表など縦横の集計だけでも丸一日要することもあったはず。事務所では「字がきれい」「ソロバン1級」という人材を雇用して労働集約的家内工業を行う。
顧客の「きれいな決算書」というニーズに応えていけばそれで良かった時代である。
また企業が急成長し法人数も激増していく中で税理士事務所の経営は、とにかく職員の増員と事務所スペース拡大の一辺倒であった。
またそれで十分高収益を期待できたわけである。
異論もあると思うが一般的に「大型税理士事務所」というのはこのような古きよき時代を踏襲している。
100人規模の職員をかかえる大型事務所の所長先生は周囲から尊敬され、あたかも経営者として成功者であるかのごとく持ち上げられている。
「あの方は会計業界のスーパースターである。」と。
事務所での作業形態が電卓やPC、インターネットという道具に変わった現代においても顧客ニーズが変わったとは基本的に思わない。
帳票書類がきれいに印字され適正な納税に導いて欲しいという普遍の原理がそこにある。
対して事務所として唯一変わった点は労働集約型の人材が必要なくなったということである。事務所や顧客双方においてPC等様々な「道具」が普及するにつれて「道具代わりの人材」は事務所内で働く場所を失いつつある。
旧来言われていた税理士の「スーパースター」とは職員数の多さと売上高の増大の上で成り立っていた。
それでは私も含めて今後若手の独立組にその場所が残っているかというと残念ながらこのような待遇や地位にありつける場所は残っていない。
言い換えれば「昔のスーパースター」にはなれないということだ。
単に職員数が多い、事務所が広い、売上が多そうだという事務所は成長が止まる。
記帳代行を軸とした事務所経営はすでに限界に達している。
企業は経営のサポート、利益増大及び企業防衛に寄与するアドバイスを求めている。
今後税理士で「スーパースター」が出現するのであればその分野だ。その場合「道具」を使いこなせるという条件は必須である。
|